公開年月日:2016年08月01日
カード会社はクレジットカードの発行枚数が減っても利益を上げられるか
国内のクレジットカード発行枚数はそろそろ頭打ちになってきました。今後の日本は人口も減少し、利用額も徐々に先細りになっていくことは確実です。
しかしクレジットカード会社は、自社が持っている情報を元に今後増々利益を上げられる可能性があります。
JCBは11日から、クレジットカード会員の情報をもとに企業の市場調査を代行するサービスを始める。小売店や飲食店向けが対象。カードの利用実績などを分析し、企業の試作品や価格設定の参考にしてもらう。
ビッグデータは宝の山
クレジットカード会社が利益を上げられる理由。それは先日もお伝えした「ビッグデータ」の活用です。
近年ハードウェアやソフトウェアの進化によって、膨大な量の情報(ビッグデータ)を解析できるようになってきました。
これにより年齢や性別による消費の傾向なども明確になり、それをビジネスに生かせるようになってきています。
例えば「30代前半の男性は水曜日の夜10~12時に健康グッズをネットで購入することが多い」などということがわかります。
通販サイトを運営する会社はカード利用者の消費動向がわかったら、そのターゲットに向けて集中的に広告を打てば、より多く製品を販売できる可能性が高くなります。
例えばFacebookが提供する広告サービスでは、「30代前半の男性で健康に興味がある」という属性の人達に絞り込んで広告を配信できるので、より詳しい情報が得られれば、適切な広告配信が可能になるのです。
クレジットカード会社は様々な企業に対して、このような情報を販売すれば、大きな利益が上げられる可能性があります。
データはあっても活かさなくては意味がない
データを持つクレジットカード会社側は、それを販売して利益に変えられますが、購入したデータをきちんと活かせるかどうかは購入する側の企業次第です。
20代女性の購買傾向を見て、そのターゲット層が関心を示しそうな広告を配信しても売上がまったく伸びなかいということもあり得ます。
消費者はそれほど単純ではありません。数値の奥に潜む本当の動機を分析しなくてはいけません。
データを元に仮説を立てて広告を打ち、思うような成果につながらなければその原因を分析して新たな仮説を立てて、再び広告を配信。このような地道な作業の繰り返しによって、徐々に結果につながっていくわけです。
最初は大変な作業になりますが、このような取り組みを繰り返して情報が蓄積されていけば、それが強みになっていきます。
ボクサーは毎日走りこみを行って足腰の骨や筋力、心肺機能などを向上させます。
強く正確なパンチ、相手の攻撃をかわす防御力など技術面が重要であることはいうまでもありませんが、それを支えているのは基礎体力です。
1ラウンドだけしか動かない体では最後まで戦えません。ビジネスも同じです。厳しい競争の中で生き残るためには、積み重ねが重要です。そう考えると、日々の作業を疎かにはできませんね。