公開年月日:2016年07月12日
山奥で空港もない岐阜県に外国人観光客が殺到する理由
偽造クレジットカードを使った18億円超の不正引き出し事件が記憶に新しいのですが、今度は偽造カードを使って大量のタバコが購入され、中国で転売されたそうです。
「悪のインバウンド需要」とでも言うのでしょうか。犯罪ですけど。中国人観光客の爆買いに浮かれていた日本ですが、今後はこのような犯罪行為には要注意。
また本当の意味でインバウンド需要を狙うなら、岐阜県のように頭を使った施策が重要です。
偽造クレジットカードを使って大量のたばこなどを詐取したとして、大阪府警が日本人と中国人の計10人を詐欺などの疑いで逮捕していたことが19日、府警への取材で分かった。大半が既に起訴されている。だまし取った商品は中国に郵送されるなどし、転売されたという。売上金の約4割が中国にいる組織のリーダーに送金されており、府警は実態解明を急いでいる。
インバウンド需要に歓喜!でもブローカーの仕業でした
家電量販店大手のヤマダ電機が2015年に開店した免税専門店が、ひっそりと閉店されたそうです。インバウンド需要を狙った店舗であることは明らかですが一体何があったのでしょうか。
答えは簡単。爆買いする中国人の多くはブローカーで、大量購入した免税品を転売して利益を得ていたのですが、中国側の規制強化や円高によって旨みがなくなってしまったのです。
いくら中国が経済発展の真っ只中だとしても、あのような購入の仕方は普通ではないと思っていたのですが、やはりこのような裏があったわけですね。
もはや訪日外国人の消費には期待できないのでしょうか。いいえ、そんなことはありません。岐阜県が素晴らしい施策によって結果を出しています。
空港から3時間以上もかかる山奥に訪日外国人が押し寄せる岐阜県
岐阜県は本州の中心辺りの内陸に位置する海のない県です。北部の飛騨地方には古い町並みの残る高山市や、白川郷という世界遺産にも選ばれた集落もありますが、非常に山深い場所で、交通の便はお世辞にもよいとは言えません。
しかし高山市に足を運ぶと、驚くことに日本人よりも多いのではないかと思うほど多くの訪日外国人が街中を歩いています。
以前からなぜこんなにも多くの外国人が、このような奥地を訪れているのか不思議に思っていましたが、これは偶然ではなく、岐阜県が行ってきた取り組みの結果であるとわかりました。
空港もなく、港もない。アクセスの“二重苦”を抱えながら訪日客獲得に成功しているのが、世界遺産の白川郷や城下町・高山を擁する岐阜県だ。14年の外国人延べ宿泊者数は過去最高を記録。県として海外戦略プロジェクトを開始した09年から約4倍と、東京(約2倍)、大阪(約3倍)を上回る。躍進を可能にした戦略の数々を見ると、自治体のイメージを覆すプロデューサー的な役割が浮かび上がる。
引用元:なぜ、空港も港もない「岐阜県」が観光ルートに組み込まれるのか 商売繁盛!インバウンド獲得大作戦:事例2「岐阜県」:PRESIDENT Online – プレジデント
詳しくは引用元の記事を読んでいただければと思いますが、概要としては、多くの自治体が中国や韓国、台湾など近隣諸国に目を向ける中、親日感情が高く、今後が期待できるシンガポール、タイ、マレーシアなどの東南アジア各国に先手を打ったり、日本ではなく現地の民間企業と組んだりと、非常に賢い戦略をとっています。
またお金を無駄遣いせずに最大限の効果が発揮できるように岐阜県の古田知事自らがトップ営業として現地に赴いていたり、日本の民間企業が現地を視察したい場合は自費参加させるなど、どこかの知事に聞かせてやりたいような秀逸さです。
古田知事は経産省出身で外務省にも勤務していた経験があり、その人脈を生かしたそうですが、自ら情報を集め、頭を使い、数年先を見て政策を立てたということが伝わってきます。
インバウンド需要を狙うなら、このように頭を使うべきですね。