公開年月日:2016年07月04日
Apple Payの動向に要注目!アップルが囲い込み戦略で狙う新境地
2016年6月13日にアップルが開発者向けの恒例イベント、WWDCを開催し、Apple Payの最新情報も伝えられました。
これまでiPhone依存だったApple Payがウェブでも使えるようになるというものですが、これクレジットカード業界もやばいんじゃないかなと思いますよ。
Appleの決済システム「Apple Pay」がウェブでも使用可能になる。Appleは米国時間6月13日、サンフランシスコで開催中の年次開発者会議Worldwide Developers Conference(WWDC)で、ユーザーがウェブサイトから直接商品を購入できるようにApple Payアイコンを追加するため、複数の企業と提携することを明らかにした。ウェブサイト上で支払いボタンをクリックすれば、「iPhone」や「iPad」「Apple Watch」の指紋認証センサ「Touch ID」を使って購入時のユーザー認証が可能になる。
ベンダーロックインされる利用者達
「ベンダーロックイン」という言葉をご存知でしょうか。サービスの提供者による利用者の囲い込みを意味します。利用者を提供するサービスから離れられない状況にするのです。
例えばITの世界では、クラウドサービスの一つとして「パース(PaaS=Platform as a Service)」というものがあります。
新しいシステムを構築するときには開発環境(開発に必要なソフトウェア、ハードウェアなど)が必要になります。ある程度の規模のシステムになると、これにかなりの費用が必要になり、初期コストがかさみます。
PaaSを利用するとクラウドサービスの利用料金を支払うだけで、開発に必要なソフトウェアが自由に使用できます。初期コストを大幅に下げられるという利点がある一方で、それらのサービスを使い続けるために、クラウドサービスがやめられない状態になります。これがベンダーロックインです。
アップルには熱狂的なファンも多く、私もロックインされております(苦笑)パソコンはMac、スマホはiPhoneです。これらが非常にうまく連携するため、便利でやめられないんですよね。デザイン性の高さもあって離れられないです。
このようにうまく利用者を囲い込めると、自社サービスの利用者に対して別のサービスを提供することで、比較的容易に利益を増やせます。
アップルはロックインした利用者を中心に、次はApple Payで利益の拡大を狙っています。
アップルがApple Payで狙う新境地
アップルといえば、携帯電話業界の常識を根底から覆してしまったことが記憶に新しいです。
iPhoneが登場するまでは、回線を持つキャリア側が携帯電話を作る側のメーカーよりも強い力を持っていましたが、立場が逆転してしまいましたね。日本に至ってはiPhoneのシェアが7割近い状態にまでなっています。
こうなってくると気になるのがアップルが次にどのような手を打つかということです。さすがのiPhoneも世界各国で売れに売れて、販売台数が鈍化してきました。
多くの人がアップルに、これまで見たこともなかったような革新的なサービスの提案を期待していますが、そんなものはそう簡単に出てくるものではありません。
MacやiPhoneの性能は行き着くところまで来ていて、もうメールやネット中心の使い方だけなら十分です。
アップルはパソコンに始まり、携帯音楽プレイヤー、音楽・映画のダウンロード販売、スマートフォンなどと分野を広げてきました。
これまで開拓してきた分野に関して爆発的な成長を望むのが難しいとなれば、新しいものが必要です。アップルはApple Payにそれを期待しているのではないでしょうか。
クレジットカードは実店舗やネットショップなどで利用しますが、アップルは全世界に直営店を持ち、ネット上にもiTunes StoreやApp Storeという巨大プラットフォームをもっており、そこで利用してもらうだけでも多くの利益を生みます。
今後さらに利用が広まり、Apple Payがあればクレジットカードや電子マネーはなくてもいいかな?なんてことになれば、クレジットカード業界も激震ですね。
クレジットカードに関わる業界に身を置いている人は、今後のApple Payの動向に要注目です。