公開年月日:2016年06月08日
14億円不正引き出しは、日本のATMの安全性が低かったことが原因か
先日、17都府県のATMから、偽造クレジットカードを利用して現金が一斉に不正引き出しされるという事件が発生しました。被害総額は14億円を超えていると報じられています。
このような組織犯罪が実行できてしまった背景として、日本のATMの安全性が低いことが指摘されています。
[シンガポール/東京 24日 ロイター] – 全国17都府県にあるコンビニの現金自動預け払い機(ATM)で南アフリカのスタンダード銀行(SBKJ.J)の偽造クレジットカードが使われ、現金で推定3億ランド(1900万ドル)が不正に引き出された問題で、専門家はATMのネットワーク管理が甘い日本が引き出し場所として狙われたとみている。
ATMの問題を突かれた不正引き出し
どのような分野であっても大規模なシステム開発というのは大変なものですが、それが交通系や金融系となれば、その厳しさは段違いではないでしょうか。
プログラムに少しでも間違いがあれば、電車や飛行機が運行できなくなり、何万人もの人達の移動に影響が出たり、お金が下ろせなくなることで買い物ができなくなったりと、経済への影響も甚大なものとなります。
そのようなシステムは間違いが起こらないように検証を重ねた上で導入されます。
他国の事情はよくわかりませんが、日本ではシステムのトラブルが原因でATMが使えなくなるようなことは少なく、もしもそのようなことが起これば、それ自体が大きなニュースになります。
ATMに限らず、やはり日本製のものは素晴らしいと思いたいところですが、今回の不正引き出しに関してはATMのネットワーク管理の甘さを突かれたとの見方があります。
安定稼働という意味ではほとんど問題はないんですけどね。一筋縄ではいきませんな。
恐るべきは犯罪者の知識と組織力です。今回のようにATMに安全上の問題があることを把握しつつ、100人以上もの犯罪者が日本全国に散り、一斉に現金を引き出しているわけですからね。
まったく、油断も隙もありません。
対策は講じているが間に合っていない偽造クレジットカード問題
少し前にクレジットカードの安全性を高めるIC対応を経済産業省が進めていることについて書きました。
IC化されているクレジットカードの偽造は、現在のところはほぼ不可能といわれています。
近い将来、全てのクレジットカードがIC対応されることになりそうですが、現状はまだ偽造可能な磁気カードが多く流通しています。
IC対応が完了するまではクレジットカードが偽造されて、不正に利用されるリスクがあるため、十分な注意が必要になります。
クレジットカードのIC化に合わせて、ATMもICのみの対応などにしなければ今回のような犯罪は防げないと思われ、まだまだ時間がかかりそうです。