公開年月日:2016年10月26日
「個人情報を集めない」はApple Payの強みになるのか?
ビッグデータが解析可能になったことによって、個人の購買履歴などの情報が大きな価値を持つようになっています。
企業にとっては宝の山であるこのようなデータを、Apple PayではAppleも店舗も取得しない仕組みになっているそうです。これは果たしてセールスポイントになるのでしょうか?
米アップルはスマートフォン「iPhone(アイフォーン)7」の日本モデルの目玉として、10月中に決済サービス「アップルペイ」を始める。ここで改めて注目されるのが、個人情報の扱いだ。
個人の購買履歴は宝の山
日本だけでも何千万という人達が日夜利用するクレジットカード。ネットショッピングでの利用はすっかり定着し、かつては敬遠された数百円程度の支払いにクレジットカードを使っても、店舗側に嫌がられることもありません。
毎日の取引は想像もできないぐらい膨大なものとなっています。十数年前までは量が多すぎて、これらの情報をうまく扱うことができませんでしたが、技術の進歩によってこのようなデータを分析して様々な分野で有効活用できるようになりました。
個人の購買行動がわかれば、企業はより効果的に広告を打ち、売上向上につなげられます。広告は商品に興味のない人達に見せるよりも、関心を持っている人達に見せたほうが購入してもらえる可能性が高くなるのは当然ですが、それがより高い精度で行えるようになってきているのです。
最近では、AI(人口知能)も著しく進歩しているので、情報をマーケティングに利用して、解析から最適な提案まで人為的に行っていることのほとんどを自動化できる日も遠くなさそうです。すでにマーケティングオートメーションツールも登場し、活用されています。
顧客の膨大な購買履歴を蓄積しているクレジットカード会社は、その情報を分析して価値あるものとし、企業に販売できる立場にあり、宝の山を持っているようなものです。しかしApple Payでは、このような情報を持たない方針であることがAppleから表明されています。
匿名の個人情報収集を行わないことは強みになるのか
「企業に個人情報が利用されている」と言われると、なんだか嫌な気分がするかもしれませんが、匿名の利用であれば、個人が特定されることはありません。まあ情報漏洩などによって匿名のデータと個人情報が関連付けられてしまう恐れがないわけではありませんが。
Apple Payでは個人情報を取得しないという理由については引用元の記事には書かれていませんが、サービスの利用者に対して安心感を与える意味合いがあることはほぼ間違いないでしょう。喜んで個人情報を差し出す人はいませんからね。
Apple Payの競合となる決済サービスが匿名の個人情報を収集し、活用している中で「Appleは個人情報を持たない」と強調することで、個人情報が利用されることに対して敏感な人達へアピールにはなるのかもしれません。
ただし既存の決済サービスに慣れきってしまった人達に対して、果たしてこの方針がどこまで効果的に響くのかは疑問です。個人情報といっても匿名ならば問題ないよね?と考える人の方が多いのではないでしょうかね?