公開年月日:2016年08月12日
仮想通貨は便利な反面、資金洗浄にも利用されやすい
他人のカード情報やネットバンキングのアカウント情報を販売していた男が逮捕されました。身元がばれないようにするため、お金の受け渡しにはビットコインなどを使っていたとのこと。メリットの多いキャッシュレスサービスですが、残念ながら犯罪にも利用しやすいという負の側面があります。
他人のクレジットカード情報などを販売して受け取った対価を他人名義の銀行口座に移して引き出したとして、警視庁サイバー犯罪対策課は窃盗容疑で、岐阜市長良の自営業、中村明博容疑者(29)を逮捕した。同課によると容疑を認めている。
キャッシュレスの負の側面
クレジットカードや電子マネーなどを使えば、現金を持ち歩かずに決済できます。高額な製品を購入する際にも大金を持ち歩く必要はありませんし、銀行やATMなどで出金をする手間もかかりません。
クレジットカードは使うほどにポイントが貯まるし、電子マネーならコンビニでも使えるものが多くあります。最近ではデビットカードも普及してきました。
しかし現金のように実体のない電子通貨は、今回のような資金洗浄に利用しやすいです。刃物が役立つ道具でありながら人を傷付けられるのと同様に、電子通貨も悪用できてしまいます。今後サービスの提供側によって様々な対策が講じられていくと思いますが、イタチごっこでしょうね。
サイバー犯罪者が簡単に捕まらない理由
インターネット上の匿名の掲示板に殺人予告などを書き込んで逮捕される人がいます。匿名であれば何を書き込んでもばれないと思っていたら大間違いです。
インターネット上にも現実の世界と同じようにIPアドレスといわれる住所があります。IPアドレスはICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)という非営利の民間団体を中心に、世界各国の組織が管理しており、日本ではJPNICがその役割を担っています。
例えば、www.aaa.comというウェブサイトには固有のIPアドレスが割り当てられています。このウェブサイトがどこにあるサーバで運用されているかはドメイン情報を調べればわかります。
通常はそれ以上のことはわかりませんが、犯罪予告のような重大かつ事案が発生した場合は、そのサーバの管理会社などに警察から情報開示を求める連絡が入ります。該当するサーバの通信履歴などを辿っていけば、誰がその書き込みを行ったかがわかります。
しかし大企業などのウェブサイトを狙った大規模攻撃の犯人が捕まったというニュースはほとんど聞いたことがありません。一般的なサービスを使って不用意な書き込みを行うようなネットに関する知識が乏しい人達とは違い、大企業のウェブサイトをダウンさせられるような高度な技術力を持ったハッカーは、インターネットに関して豊富な知識を持っており、簡単に身元が割れてしまうような下手は打ちません。
インターネットは欠陥が多い仕組みです。キャッシュレスで決済が簡単になるのは歓迎ですが、いかなるサービスも安全性に関しては完全ではないということを忘れないように利用しましょう。